LANDSCAPE (ランドスケープ)

benjamin.jpgランドスケープ
一般に建築やインテリアに対して、景観や外部空間の要素を構築することを言う。
少し前までは、建築に従属する庭園や公園などの土木的なものとして扱われていた。
近年、ランドアート(外部の彫刻や大規模な地域に及ぼす造形物,環境芸術)や都市計画などの相互作用や融合化などで、建築群や工作物なども含んだ、地域環境にかかわる全てを構成する諸要素を含むように取り扱うようになっている。

 
この記事はその中の一例。
ポルト・ボウ(Portbou)「パサージュ ヴァルター・ベンヤミンへのオマージュ」(1990年-94年)
ダニ・カラヴァン(Dani Karavan, 1930-)
イスラエルの彫刻家で,哲学家のベンヤミンの亡くなったポルト・ポウという崖に作ったモニュメント。
断崖絶壁に突き刺さるように置かれたコールテン鋼でできた33メートルの筒の内部に入ることができる。その先は地中海に向かっていて、降りるにしたがって天井が開け光が降り注ぐ、さらに降りると眼前にしぶきを上げる上げる海面が見える。よく目を凝らすとガラスの仕切りが設けられてあり、そこから先には進めない。そして・・・・
ガラスには、スペイン語、ドイツ語、英語で次のように書かれている。


"It is more arduous to honor the memory of the nameless than that of the renowned. Historical construction is devoted to the memory of the nameless."


「有名な人々の記憶に敬意をはらうよりも、無名な人々の記憶に敬意をはらう方が難しい. 歴史の構築は無名の人々の記憶に捧げられる.」

さらにトンネルの背後にも、小さなコールテン鋼の階段がある。わずか5段で途絶えた小さな階段で、行き場を失ったベンヤミンを象徴しているようようだ。

Walter Benjamin

ドイツ生まれのユダヤ人哲学者、ベンヤミン(1892-1940)
文芸評論家。思想家、エッセイスト、翻訳家、また、哲学者としても知られる。

文化社会学者として、史的唯物論ユダヤ神秘主義を結びつけた。
特に文化史や精神史に自由闊達な思想を込め、都市に対しての眼差しには定評があり、都市計画家や建築家は必須の人物である。