サイト・スペシフィック (Site Specific)
Site Specific (サイト・スペシフィック) -n.
美術の分野で扱われている用語。
文字通り、特定される(specific)サイト(場所)という意味で、「この場所でないとできないこと」「その場所特有の」という性質を示す。美術作品にとって、美術館という特定のサイトを批判して、ある特定の場所でないと意味を発しないということを指し示す。
そもそも展示空間は、その場所性を問わず(ノンサイト)、建築もホワイトキューブを最良の場所としたが、展示空間を作品として扱った「インスタレーション」や純粋形式にこだわった「ミニマリズム」に対して、環境芸術に見られるようなその場所固有のものを抽出したような作品は、作品の「場所」や「ここにしかないもの」ということを問題にしたといえる。
建築においては、「ゲニウスロキ(地霊)」と類似性は感じられるが、青木淳の青森県立美術館のように、一度抽象化された遺跡や遺構を建築として組み込み、美術館というビルディングタイプと、展示空間という形式を組み替えに成功した事例は少ない。